平成28年度JAひがし宗谷担い手海外視察研修報告~アメリカ・ウィスコンシン州編~
2017年06月06日
2016年10月視察報告会の内容です。
平成28年度JAひがし宗谷担い手海外視察研修の報告内容になります。
参加者 板垣 拓也
今回、私たちは酪農コンサルタントをされている菊池実さんにご一緒させていただく形でアメリカのWorld Dairy Expoを視察してきました。人数は、ひがし宗谷から5名、菊池さんら4名の計9名でした。
今回の旅程ですが、10月5日に成田から出国し、シカゴ経由で目的地マディソンに到着しました。飛行機での移動時間は10時間ほどありましたが、時差の関係上、到着時間が、日本を出国した日時とほぼ変わらず、とても長い10月5日を過ごしました。
そして、10月6日から8日の3日間World Dairy Expoを視察し、9日から10日にかけて、フライトし、日本に戻ってきました。
さて、視察先の都市、マディソンですが、このピンの打ってある場所、アメリカ中西部ウィスコンシン州に属しています。自由の女神や、トランプタワーのあるニューヨークからは、1,300km離れておりますので、アメリカらしいものの観光は全くできません。
マディソンは、大きな湖があるのが特徴の都市で、面積は219.4k㎡、人口は24万3千人です。
気候は、最高気温で8月に28℃ほど、最低気温で1月に-12℃ほどといった形で、宗谷と大きく変わらないような感じです。
ちなみに、中心部はこのような感じで、ウィスコンシン州大学マディソン校があり、湖の風景はこのような感じです。
マディソンでの食ということで、昼食はExpo会場にてハンバーガーなどを食べましたが、夕食はホテル近くのレストランでとりました。
この写真からではわからないと思いますが、アメリカの夕食はまず、ボリュームがすごいです。食べきれませんでした。
そして、味付けがとても濃かったです。ただ、赤身肉の焼き方は非常にうまく、肉自体はおいしかったです。
それではここから、World Dairy Expoについて報告していきたいと思います。
この写真は、最初の受付ブースの入り口です。
Expoの開催期間は10月4日から8日。そのうちの後半3日間を見てきました。参加企業は800社以上。共進会に出陳している頭数は約2,500頭です。
今年は50周年記念の大会でもありました。
会場内の雰囲気を紹介します。
最初のスライドの絵とほぼ同じ方向から撮っています。大きく写っている円形の建物がColiseumで実際に共進会を行っている会場です。
これは、Exhibition Hallで、企業の展示がたくさん入っていました。
これは、New Holland Trade Centerという建物ですが、New Hollandが大きな大会スポンサーということで、名前がついているだけで、中はいろいろな企業の展示ブースです。
これは、朝イチの写真なので、人が全然いませんが、昼時には出店に人が並んでいました。
外にもたくさん機械が展示してありました。ちなみにこれは、スキットローダーにラップを持ち上げさせて展示してるのがすごいなと思って撮りました。
このように板垣君も頑張って乗り心地を確認していました。
この建物では、共進会後の牛の競売が行われていました。
中の様子はこんな感じで、活気あふれる取引が行われていました。
外では、子供たちも頑張ってお手伝いしている姿が見られました。
ここからは、屋内の企業の展示ブースです。
中ではアメリカだけではなく、いろいろな国の企業が出展していました。
私たちのように視察や、商談などの目的であらゆる国の人が行き来していました。
中の出展ブースの様子を軽く紹介していきます。
かわいい牛のプレートのお土産が売っていました。
これは、GEA Farmのロータリー型搾乳ロボットの模型です。模擬乳頭に頑張って装着してました。
これは、あまり日本に入っていない搾乳ロボットですね。本多製作所で扱っている、Hokofarm、旧InsentecのASTREA 20.20です。
日本の産業ロボット技術を使っています。
日本でも売ってるからよろしくねーと営業の人が言ってました。
これは、Lelyの自動給餌ロボットです。えさ押しロボットと同じく、自律走行します。
最近人気上昇中のグリーンストールもありました。
かっこいいバギーなんかも展示してありました。
なかなか原始的な技術の暑熱対策ですが、しっかり製品化しているところが素晴らしいです。
この銀色シートで覆うことで、ハッチの中を最大8℃下げることができたそうです。
おじさんが頑張って製作していました。
作り方も原始的なのでお手軽ですね。
バンカーのパネルの展示です。
板垣君と比較しますと、日本でよく見るサイズから、馬鹿でかいものまでありました。4.8mのパネルはさすがアメリカだなと感じました。
これはモジュール式の子牛の飼育小屋です。
中はこんな感じです。
ペンの床は網になっていて、下にバーンスクレーパーが通っています。
こんな感じでペンが並んでいます。
ここからは、少しまじめに聞いてきたものを数点紹介します。
これは酪農用デジタル糖度計です。糖度計といえば、初乳の比重を測る代替手段として最近使われていますね。
このメーターはそれだけにとどまらないマルチメーターとなっています。
計測項目は、まず、Brix、糖度を測ることで、初乳のIgG量の推定できます。さらに、尿の比重を測ることができ、脱水の指標に、血清中の総タンパク質量を量り、子牛が移行免疫を獲得しているか調べることもできます。そして、子牛に飲ませる移行乳の全固形分を調べることができ、どれだけの栄養があるか評価できます。
これだけ調べることができて、お値段はなんと58,850円プラス税ということで、興味のある方は是非輸入してみてください。
次にご紹介しますのは、ポータブル飼料成分分析装置 X-NIRです。
これはイタリアの企業が出しており、イタリア語なまりの英語で頑張って説明してくれました。日本のディーラーを探しているらしく、下手をすると本格的な商談に発展しそうな勢いがありました。
さて、実際にこの装置を使わせてもらいました。使い方は、画面はタッチパネルで、測定する飼料を選んで、スタートボタンを押して、飼料サンプルの数カ所に軽く押し当てるだけ。
そうすると、このように結果が即座に表示されます。
内容は、水分、デンプン、粗タンパク質、ADF、NDF、灰分、粗脂肪といった一般成分を測定できます。
この装置を利用することで、飼料サンプル採取と同時に簡易成分測定を行い、詳細な分析結果が返ってくる前に暫定的な飼料設計を行うことができます。
また、同じバンカー内のサイレージでも成分が変動しますので、定期的な測定でその変動をリアルタイムに飼料設計に反映させることができます。
このX-NIR、基本セットでは、コーンサイレージ、乾草、ハイモイスチャーコーン、アルファルファ乾草、グラスサイレージ、TMR、Soybean Flourの7つの中から農場で使用したい3つの検量線を選んでプリセットすることができます。また、オプションで、これ以外の飼料の検量線も選ぶことができ、50種類以上取りそろえているそうです。
自宅で気軽に飼料成分を測定できる時代がそこまで来ています。
さて、気になるお値段ですが、私の英語の聞き取りに間違いがなければ、なんと、1台165万円で買えちゃいます!農協で1台買ってみてはいかがでしょうか。
Expoでは、毎日いろいろなセミナーもやっていました。私は、最終日の粗飼料セミナーに参加してきました。
このおじさんは、ウィスコンシン州大学 酪農科学科のDave Combs 教授です。
英語でぺらぺらとしゃべっていたので、ほとんど何言ってるかわかりませんでした。
とにかくざっくりと言うならば、このおじさんは、繊維の消化は、このスライドにも書いてあるとおり、いろいろな要素の影響を受けているので、一概に評価するのは難しい。だから、粗飼料の繊維消化性を比較しやすくする新しい評価方法を考えたのだそうです。
それが、この公式です。この公式から導き出された TTNDFDという数値が42%以上の粗飼料は乳生産を増加させるのだそうです。
もしかしたら、この評価方法が一般的なものになる日が来るのかもしれません。
最後にこれはデラバルのディッピングロボットです。
なぜか、このようにかっこよくされていました。
これをもって、企業ブースの報告を終わりまして、次は板垣君から共進会について報告してもらいます。
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